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ゴルディロックス効果(松竹梅の法則)とは?
ゴルディロックス効果とは、人々が3つの選択肢を提示された際に、無意識に真ん中の選択肢を選びやすいという心理現象のことです。日本では、飲食店のコースメニューなどでおなじみの「松竹梅の法則」としてよく知られています。
この名前は、イギリスの童話『ゴルディロックスと3びきのくま』に由来します。主人公の少女ゴルディロックスが、くまの家で3つのスープやベッドを試す際に、「熱すぎず、冷たすぎない」「硬すぎず、柔らかすぎない」といった”ちょうどいい”真ん中のものを選ぶことから名付けられました。
これは、極端な選択を避けたいという人間の心理(極端回避性)に基づいています。高すぎる選択肢はリスクを感じ、安すぎる選択肢は品質に不安を感じるため、多くの人は最も安全で合理的に見える「真ん中」を選んでしまうのです。
マーケティングにおける活用事例
ゴルディロックス効果は、売り手が「最も売りたい商品」を意図的に選ばせるための価格戦略として、マーケティングの世界で非常に広く使われています。
具体的なマーケティング事例
- 飲食店のコースメニュー: 「松:10,000円」「竹:7,000円」「梅:5,000円」というコースがあれば、多くの顧客は真ん中の「竹」コースを選びます。店側は、この「竹」コースを最も利益率が高くなるように設計しています。
- サブスクリプションの料金プラン: 多くのWebサービスで「プレミアムプラン」「スタンダードプラン」「ベーシックプラン」の3つの料金プランが用意されています。これは、真ん中の「スタンダードプラン」に加入させることを狙った価格設定です。
- 家電製品のラインナップ: 同じ種類のテレビやパソコンでも、「高性能モデル」「標準モデル」「廉価モデル」の3つのグレードが用意されていることがあります。最も売りたい「標準モデル」を引き立てるために、あえて高価格なモデルと低価格なモデルが「おとり」として設定されているのです。
恋愛における活用事例
ゴルディロックス効果は、恋愛におけるパートナー選びや関係性の構築においても、無意識に働くことがあります。
具体的な恋愛事例
- パートナー選びのバランス感覚: パートナーを選ぶ際に、極端な性格の人を避け、「刺激的すぎず、退屈すぎない」「甘えさせてくれるけど、自立もしている」といった、自分にとって”ちょうどいい”バランスの取れた相手を求める心理です。
- デートプランの選択: デートの計画を立てる際に、高級すぎるレストラン(緊張する)でも、安すぎる居酒屋(雰囲気が…)でもなく、”ちょうどいい”価格帯と雰囲気のお店を選ぶことで、お互いに満足度の高い時間を過ごすことができます。
- 相手との距離感: 恋愛関係において、相手に干渉しすぎる(熱すぎる)のでもなく、無関心すぎる(冷たすぎる)のでもない、お互いが心地よいと感じる”ちょうどいい”距離感を保とうとする心理も、ゴルディロックス効果の一種と言えるかもしれません。
コメント
ゴルディロックス効果、すなわち「松竹梅の法則」は、私たちの意思決定がいかに選択肢の「見せ方」に影響されるかを示しています。
マーケティングでは顧客の選択を巧みに誘導するテクニックとして活用されていますが、これを理解することで、私たちは消費者として「本当に自分にとって最適な選択肢はどれか?」と、より賢明な判断を下すことができるようになります。何事も「ちょうどいい」が心地よいのは確かですが、時には極端な選択肢にこそ、最高の体験が隠されているかもしれませんね。