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コンコルド効果(サンクコスト効果)とは?
コンコルド効果とは、ある対象への投資を続けることが損失に繋がると分かっていながら、それまでに費やした費用や時間(サンクコスト=埋没費用)を惜しむあまり、投資をやめられなくなってしまう心理現象のことです。
この名前は、イギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機「コンコルド」に由来します。コンコルドは開発途中で採算が取れないことが判明していたにもかかわらず、それまでの莫大な投資を無駄にしたくないという思いから開発が続行され、結果的に商業的に大失敗に終わりました。この事例から、「もったいない」という気持ちが合理的な判断を妨げる心理を「コンコルド効果」と呼ぶようになりました。
マーケティングにおける活用事例
マーケティングでは、この「もったいない」という消費者心理を利用して、継続的な購入や利用を促す戦略が数多く見られます。
具体的なマーケティング事例
- ソーシャルゲームの課金: 「ここまで課金したのだから、目当てのアイテムが出るまでやめられない」という心理を働かせ、追加の課金を促します。費やした時間やお金が多いほど、ユーザーはゲームをやめにくくなります。
- 分冊百科(パートワーク): 毎号少しずつパーツが提供され、全号揃えると一つの模型などが完成する商品です。途中でやめるとそれまで集めた分が無駄になるため、「最後まで集めなければ」という心理が働き、購入を継続させます。創刊号を安く設定するのも、最初の投資のハードルを下げるための戦略です。
- ポイントカード・会員ランク: 「あと少しでポイントが貯まる」「せっかくゴールド会員になったのだから維持したい」という気持ちにさせ、他店への乗り換えを防ぎ、自社での継続的な購買を促します。
恋愛における活用事例
コンコルド効果は、恋愛関係においても「別れたくても別れられない」という状況を生み出すことがあります。
具体的な恋愛事例
- ずるずると続く関係: パートナーとの関係が冷え切ってしまい、将来が見えないと感じていながらも、「これまで何年も付き合ってきた時間がもったいない」「彼(彼女)に尽くしてきたお金や労力が無駄になる」と考えてしまい、別れを決断できないケースです。
- 報われない片思い: 振り向いてもらえる可能性が低いと分かっているのに、「ここまで長い間アプローチしてきたのだから、諦めたら今までの努力が無駄になる」と感じ、アプローチをやめられない状態です。
- ダメ男・ダメ女と別れられない: 相手の金銭問題や浮気癖などに悩み、一緒にいても幸せになれないと頭では理解していても、「私がいないとこの人はダメになる」「これまで支えてきたのだから」という思いが、関係を断ち切ることを難しくさせます。
コメント
コンコルド効果は、ビジネスから恋愛まで、私たちの意思決定に大きな影響を与える心理現象です。「もったいない」という感情は自然なものですが、それに囚われすぎると、より大きな損失を招いてしまう可能性があります。
重要なのは、過去に費やしたコスト(サンクコスト)と、これから得られる未来の利益を切り離して考えることです。時には「損切り」をする勇気を持つことが、より良い結果に繋がることもあります。