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おとり効果(デコイ効果)とは?
おとり効果とは、2つの選択肢で迷っている時に、明らかにそれらより劣る3つ目の選択肢(おとり=デコイ)が加わることで、特定の選択肢の魅力が増し、意思決定が誘導されるという心理現象のことです。
例えば、以下のような選択肢があったとします。
- A:Sサイズポップコーン(300円)
- B:Lサイズポップコーン(700円)
この時点では、多くの人は安いSサイズを選びがちです。しかし、ここに「おとり」が加わるとどうでしょう。
- A:Sサイズポップコーン(300円)
- B:Lサイズポップコーン(700円)
- C:Mサイズポップコーン(650円) ← おとり
Lサイズとの価格差がわずか50円しかないMサイズ(おとり)を見ると、多くの人が「それならLサイズの方が圧倒的にお得だ!」と感じ、最初に選んでいたはずのSサイズではなく、Lサイズを選んでしまうのです。
マーケティングにおける活用事例
おとり効果は、「ゴルディロックス効果(松竹梅の法則)」と似ていますが、より巧妙に顧客の意思決定をコントロールし、最も売りたい高価格帯の商品へと誘導するために使われます。
具体的なマーケティング事例
- サブスクリプションのプラン:
- プランA:月額1,000円(機能限定)
- プランB:月額2,000円(全機能+サポート)
- プランC(おとり):月額1,800円(全機能のみ) 多くの人は、サポートが付いて価格差がわずかなプランBを「お得」と判断し、選択します。
- 電化製品の販売: 機能が少し劣るのに、上位モデルと価格がほとんど変わらない中位モデルを「おとり」として陳列することで、最上位モデルの売上を伸ばす戦略です。
- 雑誌の年間購読:
- 電子版のみ:5,000円
- 書籍版のみ:10,000円
- 電子版+書籍版セット:10,000円 「書籍版のみ」がおとりとなり、「それならセットの方が断然お得だ」と多くの人がセットプランに流れます。
恋愛における活用事例
恋愛において、意図的におとり効果を使うことは倫理的に問題がありますが、自分をより魅力的に見せるための「引き立て役」という形で、無意識にこの効果が働いている場面があります。
具体的な恋愛事例
- グループでのアピール: グループで行動する際に、自分以外のメンバーを引き立て役(おとり)として利用し、相対的に自分の魅力を高く見せようとする戦略です。(ただし、あからさまだと人間性を疑われるため注意が必要です。)
- デートの提案: 「家でDVDを見るか、近所の公園を散歩するか、それとも新しくできた素敵なレストランに行くか、どれがいい?」と提案することで、「素敵なレストラン」という選択肢の魅力を際立たせ、相手を誘導するテクニックです。
- 過去の恋愛との比較: パートナーに、明らかに自分より劣る(と自分が思う)元恋人の話(おとり)をすることで、間接的に「今の自分は、それよりずっと良い選択でしょ?」とアピールする、少しずる賢い方法です。
コメント
おとり効果は、私たちの選択が、絶対的な価値ではなく、他の選択肢との「比較」によっていかに簡単に操作されてしまうかを示しています。この心理効果を知ることで、私たちはマーケティングの巧妙な罠を見抜き、「本当に自分に必要なものは何か?」という視点で、より合理的な選択ができるようになるでしょう。